キービジュアル

コラム

記事

産業用ロボットの種類について、よく使われているものを中心に解説

「産業用ロボットにはどんな種類があるの?」「自社の製造ラインにはどのロボットが適しているんだろう?」「導入を検討しているけど、種類が多すぎて何を選べばいいか分からない...」
そう思う方もいるかもしれません。

実は、産業用ロボットは大きく分けて6つの主要タイプに分類でき、それぞれ得意な作業や適した工程が明確に異なります。自社の用途に合った種類を選ぶことで、生産性向上と投資効果の最大化が実現できるのです。

この記事では、製造現場でよく使われる産業用ロボットの種類とその特徴、さらに用途別の選び方まで詳しく解説します。


産業用ロボットの主要な種類とは

産業用ロボットは製造現場の自動化に欠かせない設備ですが、その種類は用途や構造によって多岐にわたります。自社のラインに最適なロボットを選定するには、まず各タイプの基本的な特徴を理解することが重要です。

ここでは産業用ロボットの分類方法と主要な6つのタイプ、そして選定の基本的な考え方について解説します。


産業用ロボットの分類方法

産業用ロボットは主に構造(機構)によって分類されます。関節の数や配置、動作範囲の違いによって、垂直多関節型、水平多関節型、パラレルリンク型などに区分されます。また用途による分類では、溶接ロボット、塗装ロボット、搬送ロボット、組立ロボットなどがあります。

さらに近年では、人と協働できる協働ロボット(コボット)という新しいカテゴリーも登場しています。分類方法を理解することで、自社のニーズに合ったロボット選定がスムーズになります。


6つの主要タイプの概要

製造現場で広く使われている産業用ロボットは、主に以下の6つのタイプに分類できます。

  • ● 垂直多関節ロボット:人間の腕に近い動きで汎用性が高い
  • ● 水平多関節ロボット(スカラ):高速で正確な水平移動が得意
  • ● パラレルリンクロボット:食品業界などで高速ピッキングに活躍
  • ● 協働ロボット:安全柵なしで人と一緒に作業できる
  • ● 直交ロボット:シンプルな構造で位置決め精度が高い
  • ● 円筒座標ロボット:円筒状の動作範囲を持つ

それぞれのロボットは構造や得意とする作業が異なるため、導入目的に応じて最適なタイプを選択することが重要です。


産業用ロボット選定の基本的な考え方

産業用ロボットを選定する際は、作業内容、必要な可搬重量、動作範囲、設置スペース、導入コストの5つの要素を総合的に検討する必要があります。例えば重量物の溶接作業には可搬重量の大きい垂直多関節ロボットが適していますし、小型部品の高速組立にはスカラロボットが向いています。

また投資対効果(ROI)の試算も重要で、人件費削減効果や生産性向上による回収期間を事前に算出しておくことで、経営層への説得材料となります。自社の課題を明確にすることが、最適なロボット選定の第一歩です。


垂直多関節ロボット(6軸ロボット)の特徴と用途

垂直多関節ロボットは、産業用ロボットの中で最も普及しているタイプです。人間の腕のような動きができるため、幅広い作業に対応できる万能型ロボットといえます。

ここでは垂直多関節ロボットの仕組みやメリット、どんな作業に向いているのかについて解説します。


垂直多関節ロボットの構造と動作原理

垂直多関節ロボットは、その名の通り縦方向に複数の関節を持つロボットです。多くは6つの関節(軸)を持ち、人間の肩・肘・手首に相当する動きができます。この構造により、複雑な形状の製品にもアームを伸ばして作業することが可能です。

動作範囲が広く、上下左右だけでなく斜めや裏側へのアクセスもできるため、溶接や塗装など立体的な作業に適しています。関節が多いほど自由度が高くなりますが、その分制御プログラムは複雑になります。


垂直多関節ロボットのメリット・デメリット

垂直多関節ロボットの最大のメリットは、その汎用性の高さです。一台で溶接、組立、搬送など様々な作業をこなせるため、生産品目の変更にも柔軟に対応できます。また可搬重量も数キロから数百キロまで幅広く選択でき、小型部品から車体のような大型製品まで扱えます。

一方でデメリットとしては、設置に広いスペースが必要なことや、導入コストが比較的高めなことが挙げられます。また動作速度は他のタイプと比べるとやや劣る場合があります。


垂直多関節ロボットが活躍する主な作業

垂直多関節ロボットは特に溶接作業で多く使われており、自動車製造ラインでは欠かせない存在です。アーク溶接やスポット溶接など、高温で危険な作業を人に代わって行います。

また塗装作業でも活躍しており、ムラなく均一に塗料を吹き付けることができます。その他にも部品のピックアンドプレース(掴んで移動させる作業)や、ネジ締めなどの組立作業、さらには検査工程での製品の持ち替えなど、製造工程の様々な場面で導入されています。%減少し、より安全な作業環境が構築されました。


水平多関節ロボット(スカラロボット)の特徴と用途

水平多関節ロボット(スカラロボット)は、水平方向の動きに特化した産業用ロボットです。スカラは「SCARA」と表記され、これは「Selective Compliance Assembly Robot Arm」の略称です。電子部品の組立や製品の搬送など、スピードと精度が求められる作業で力を発揮します。

ここでは水平多関節ロボットの仕組みやメリット、どんな作業に適しているのかについて解説します。


スカラロボットの構造と動作原理

スカラロボットは、水平面内で回転する2つのアームと、上下に動くZ軸で構成されています。見た目は机の上に置かれた扇風機の首のような形をしており、アームが円を描くように動きます。水平方向には柔軟に動きますが、垂直方向は固い構造になっているのが特徴です。

この構造により、部品を正確に上から押さえ込む作業や、平面上を素早く移動する作業が得意です。動作がシンプルなため、プログラミングも比較的簡単で、初めてロボットを導入する企業にも扱いやすいタイプです。


スカラロボットのメリット・デメリット

スカラロボットの最大のメリットは、高速かつ高精度な動作ができることです。水平方向の移動速度が速く、0.01ミリ単位の精密な位置決めも可能なため、小型電子部品の組立に最適です。また構造がシンプルで設置スペースも比較的小さく済み、導入コストも垂直多関節ロボットより抑えられます。

デメリットとしては、動作範囲が水平面に限られるため、立体的で複雑な形状の製品には対応しにくい点があります。また天井面や側面からのアクセスが必要な作業には不向きです。


スカラロボットが活躍する主な作業

スカラロボットは電子基板への部品実装作業で広く使われています。プリント基板に小さなチップ部品を正確に配置する作業は、スカラロボットの得意分野です。また製品の箱詰め作業やパレタイジング(製品を整然と積み上げる作業)でも活躍しており、食品工場や物流センターでも導入が進んでいます。

その他にも接着剤の塗布や小型ネジの締め付け、部品の検査工程での搬送など、平面上での細かく速い動きが求められる場面で力を発揮します。


パラレルリンクロボット(デルタロボット)の特徴と用途

パラレルリンクロボットは、複数のアームが並列に配置された独特な構造を持つロボットです。デルタロボットとも呼ばれ、その見た目はクモのような形をしています。

ここではパラレルリンクロボットの仕組みやメリット、どんな作業に最適なのかについて解説します。


パラレルリンクロボットの構造と動作原理

パラレルリンクロボットは、天井や架台に固定された基部から3本または4本のアームが並列に伸びている構造です。各アームの先端が1つの作業部(エンドエフェクタ)に接続されており、アームが協調して動くことで高速かつ正確な動きを実現します。重い駆動部分は上部に固定されているため、先端部分は非常に軽量で素早く動けます。

この構造により、1分間に数百回もの高速ピッキング作業が可能です。動作範囲は限定的ですが、その範囲内では他のロボットを圧倒する速さを誇ります。


パラレルリンクロボットのメリット・デメリット

パラレルリンクロボットの最大のメリットは、圧倒的な動作スピードです。1分間に200個以上の製品をピッキングできる機種もあり、大量生産ラインでの生産性向上に大きく貢献します。また軽量な先端部により加減速が素早く、製品へのダメージ削減も可能です。

さらに構造上、位置精度も高く維持できます。デメリットとしては、動作範囲が比較的狭く、主に上下方向と限られた水平範囲での作業に限定される点があります。また可搬重量も小さめで、重い製品の搬送には向いていません。


パラレルリンクロボットが活躍する主な作業

パラレルリンクロボットは食品工場での包装作業で特に活躍しています。ベルトコンベアで流れてくるチョコレートやクッキーを素早く掴んで箱に詰める作業は、まさにこのロボットの得意分野です。また医薬品工場では錠剤の高速仕分けや包装作業に使われており、衛生的で正確な作業が求められる環境で重宝されています。

その他にも電子部品の高速ピッキングや、ベルトコンベア上を流れる不良品の除去作業など、スピードと精度の両方が必要な場面で導入されています。

導入コストも従来型より抑えられ、中小企業でも手が届きやすくなっています。デメリットとしては、可搬重量が小さく重い製品には対応できないことや、動作速度が遅いため大量生産ラインには不向きな点があります。

©2024 株式会社足利技研