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ロボットのメンテナンスの頻度や具体的なチェック項目について解説

「ロボットのメンテナンスはどのくらいの頻度で行えばいいの?」「具体的に何をチェックすればトラブルを防げるの?」そう悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

実は、ロボットのメンテナンスは、日常点検・週次点検・月次点検・年次点検という4つの頻度に分けて、それぞれ適切なチェック項目を実施することで、突発的なトラブルを大幅に減らすことができるのです。

この記事では、産業用ロボットのメンテナンス頻度ごとの具体的なチェック項目、メンテナンスを怠った場合のリスク、そして効率的なメンテナンス体制の構築方法について詳しく解説します。


ロボットメンテナンスの重要性と基本的な考え方



産業用ロボットは製造現場において重要な役割を担っており、その安定稼働は生産性に直結します。適切なメンテナンスを実施することで、突発的な故障を防ぎ、長期的なコスト削減と安全性の確保が可能になります。

ここではロボットメンテナンスの重要性と基本的な考え方について解説します。


産業用ロボットにメンテナンスが必要な理由

産業用ロボットは高速で繰り返し動作を行うため、各部品には常に負荷がかかっています。モーター、減速機、ケーブル、グリースなどの消耗品は時間とともに劣化し、放置すると精度低下や突然の停止を招きます。

定期的なメンテナンスにより部品の劣化を早期に発見し、計画的な交換を行うことで、予期せぬダウンタイムを防ぐことが可能です。また、センサーやコントローラーの調整を定期的に行うことで、ロボットの動作精度を維持し、製品品質の安定にもつながります。


予防保全と事後保全の違い

メンテナンスには大きく分けて予防保全と事後保全の2つの方法があります。予防保全は故障が発生する前に定期的な点検や部品交換を行う手法で、計画的に実施できるため生産への影響を最小限に抑えられます。

一方、事後保全は故障が発生してから修理を行う手法で、修理費用が高額になりやすく、突発的な生産停止により大きな損失が発生するリスクがあります。予防保全を基本とすることで、年間のメンテナンスコストを30〜50%削減できるとされています。


メンテナンスによるコスト削減効果

適切なメンテナンスは一見コストがかかるように思えますが、長期的には大きなコスト削減効果をもたらします。定期的な点検により部品の劣化を早期発見できれば、小規模な修理で済み、大規模な故障を防げます。

また、突発的な故障による生産ラインの停止は1時間あたり数十万円から数百万円の損失につながりますが、計画的なメンテナンスであれば生産計画に組み込むことができます。さらに、ロボットの寿命を延ばすことで設備投資の回収期間を延長でき、投資対効果の最大化が可能です。


メンテナンス頻度の4つの分類と実施タイミング



ロボットのメンテナンスは頻度によって日常点検、週次点検、月次点検、年次点検の4つに分類されます。それぞれの点検には明確な目的があり、適切な頻度で実施することで効率的に設備の健全性を保つことができます。

ここではメンテナンス頻度の4つの分類と実施タイミングについて解説します。


日常点検(毎日実施)の目的と所要時間

日常点検は毎日の稼働前または稼働後に実施する最も基本的な点検です。目的は異常の早期発見と安全確認であり、視覚や聴覚による確認が中心となります。具体的にはロボットの外観チェック、異音や異臭の有無、警告ランプの点灯確認などを行います。

所要時間は1台あたり5分から10分程度で完了し、特別な工具や専門知識がなくても現場のオペレーターが実施できる内容です。毎日実施することで小さな変化にも気づきやすくなり、重大なトラブルを未然に防ぐことができます。


週次点検(週1回実施)の目的と所要時間

週次点検は週に1回、決まった曜日に実施する点検で、日常点検よりもやや詳細な確認を行います。目的は消耗品の状態確認と動作の安定性チェックです。ケーブルの接続状態、グリースの状態、可動部の動きのスムーズさなどを確認します。

所要時間は1台あたり15分から30分程度で、簡易的な測定器具を使用することもあります。週次点検により日常点検では気づきにくい緩やかな劣化傾向を把握でき、月次点検や部品交換のタイミングを適切に判断する材料となります。


月次点検(月1回実施)の目的と所要時間

月次点検は月に1回実施する本格的な点検で、専門的な知識を持つ保全担当者が実施します。目的は設備全体の詳細な状態把握と消耗品の交換判断です。ボルトの締め付けトルク確認、電気系統の測定、潤滑油の補充や交換、バックアップバッテリーの電圧チェックなどを行います。

所要時間は1台あたり1時間から2時間程度で、必要に応じて部品交換も実施します。月次点検を確実に実施することで、年次点検での大規模な修理を減らし、設備の安定稼働を維持できます。


年次点検(年1回実施)の目的と所要時間

年次点検は年に1回実施する最も包括的な点検で、メーカーの技術者や専門業者が関わることが一般的です。目的はロボット全体の総合的な診断と大規模な部品交換です。減速機のオーバーホール、制御盤内部の清掃と点検、精度測定とキャリブレーション、すべての安全機能の動作確認などを行います。

所要時間は1台あたり1日から数日かかることもあり、生産計画に組み込んで実施する必要があります。年次点検により設備寿命を大幅に延ばすことができ、次の1年間の安定稼働を確保できます。


メンテナンスを怠った場合のリスクとトラブル

適切なメンテナンスを実施しないと、さまざまなリスクやトラブルが発生する可能性があります。小さな異常を見逃すことで大きな故障につながり、結果的に生産停止や高額な修理費用が発生するケースは少なくありません。

ここではメンテナンスを怠った場合のリスクとトラブルについて解説します。


突発的な故障による生産ラインの停止

メンテナンスを怠ると、稼働中に突然ロボットが停止する事態が発生する可能性があります。例えばグリース切れによる減速機の焼き付きが発生すると、ロボットが急停止し生産ラインが数時間から半日以上停止する場合があります。この間の生産損失は規模によって数十万円から数百万円に達することがあり、さらに緊急修理費用も通常の数倍かかる傾向があります。

計画的なメンテナンスであれば数万円程度の部品交換で済む内容が、怠ったことで数百万円規模の損失となる可能性があるのです。突発的な停止は納期遅延にもつながり、顧客からの信頼低下という目に見えない損失も生み出します。


修理コストの増大と部品交換の遅延

定期的なメンテナンスを行わないと、小さな不具合が連鎖的に大きな故障へと発展する場合があります。ケーブルの微細な断線を放置すると制御基板まで損傷する可能性があり、修理費用が当初想定の10倍以上に膨らむケースも考えられます。さらに特殊な部品は海外からの取り寄せに数週間かかることがあり、その間は生産ができない状態が続きます。

予防的に部品交換を行えば在庫管理も計画的にできますが、突発故障では部品調達に時間がかかり、代替生産手段の確保にも追加コストが発生する場合があります。


安全面のリスクと労働災害の可能性

メンテナンス不足は作業者の安全にも直結する重大なリスクをはらんでいます。安全センサーの動作不良を見逃すと、ロボットが予期せぬ動作を行い、作業者が挟まれる危険性があります。

また、ケーブルの劣化による漏電が火災につながるリスクも存在します。ボルトの緩みによりロボットアームが落下すれば、下にいる作業者が重傷を負う可能性も考えられます。労働災害が発生すれば企業の社会的責任が問われ、行政指導や操業停止命令を受けることもあるため、日常的なメンテナンスによって未然に防ぐことが極めて重要です。

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