ロボットの設計のフローなど必要な対応内容について解説
「ロボット設計って何から始めればいいの?」「設計の具体的な手順が分からない...」「必要な知識や技術が多すぎて不安」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実は、ロボット設計には明確なフローがあり、それに沿って進めることで初心者でも体系的に設計を進められるのです。機械設計、電気回路、制御プログラミングという3つの要素を適切な順序で組み合わせることが成功の鍵となります。
この記事では、ロボット設計の基本的なフローから、各段階で必要となる具体的な対応内容、そして設計時に押さえるべき重要なポイントまでを詳しく解説します。
ロボット設計とは?基本的な考え方と全体像

ロボット設計は、目的に合ったロボットを作り上げるための計画的な作業です。機械、電気、プログラミングといった複数の技術を組み合わせて、実際に動くシステムを完成させます。
ここではロボット設計の基本的な考え方と全体像について解説します。
ロボット設計の定義と目的
ロボット設計とは、特定の仕事や目的を達成するために、構造、回路、プログラムを計画して形にする技術的な作業のことです。設計の目的は、ただ動くものを作ることではなく、必要な性能を満たし、安全に動作して、予算内で製造できるロボットを作ることにあります。
工場での作業自動化から医療サポート、家庭での使用まで、用途に応じた設計の進め方があります。技術的に実現できるかどうかと、経済的に成り立つかのバランスを取ることが重要です。
ロボット設計に必要な3つの要素(機械・電気・制御)
ロボット設計には機械設計、電気設計、制御設計という3つの大きな要素が必要です。機械設計では本体の骨組みや動く仕組みを考えます。電気設計ではモーターやセンサー、電源などを設計してロボットに動く力と情報を与えます。
制御設計ではセンサーからの情報をもとにモーターを動かすプログラムを作ります。これら3つはそれぞれ独立しているのではなく、お互いに影響し合うため、全体を見ながら設計を進めることが大切です。
産業用ロボットとサービスロボットの設計の違い
産業用ロボットとサービスロボットでは、設計で重視するポイントが大きく違います。産業用ロボットは工場などの決まった環境で使われるため、正確な繰り返し作業、スピード、長時間動き続ける信頼性が大事です。
一方、サービスロボットは人の生活空間で使われるため、何よりも安全性、予測できない状況への対応力、人との相性が最優先になります。設計を始める段階から、どちらのタイプを作るのかをはっきりさせて、それに合った設計方針を決めることが成功につながります。
ロボット設計の基本フロー:企画から完成まで

ロボット設計は段階的なプロセスを踏んで進めることで、効率的に高品質なロボットを完成させることができます。企画段階での要件定義から、概念設計、詳細設計、試作、評価という一連の流れを理解することが重要です。
ここではロボット設計の基本フローについて解説します。
ステップ1:要求仕様の定義と目標設定
ロボット設計の最初のステップは、何を実現したいのかを明確にすることです。どんな作業をさせたいのか、どのくらいの速さや精度が必要なのか、予算や納期はどうなのかを具体的に決めます。
この段階で目標があいまいだと、後から大きな変更が必要になり、時間とお金の無駄につながります。ユーザーや関係者と十分に話し合い、実現可能な範囲で優先順位をつけた要求仕様書を作成することがプロジェクト成功の第一歩です。
ステップ2:概念設計とコンセプト決定
要求仕様が決まったら、どんな方式でロボットを実現するかのアイデアを考えます。車輪で動かすのか、脚で歩かせるのか、アームはいくつ必要か、どんなセンサーを使うかなど、複数の案を出して比較検討します。
この段階では細かい設計よりも、全体のコンセプトとして実現可能性が高く、コストと性能のバランスが良い方式を選ぶことが大切です。簡単なスケッチや3Dモデルを作りながら、チームで議論を重ねてベストな方向性を決定します。
ステップ3:詳細設計と部品選定
概念設計が固まったら、実際に製作できるレベルまで設計を詰めていきます。CADソフトを使って正確な寸法を決め、使用する材料や部品を具体的に選定します。モーターやセンサー、制御基板などのカタログを見ながら、性能と価格を比較して最適なものを選びます。
回路図やプログラムの基本設計も行い、各部品が正しく連携して動作するかを図面上で確認します。この段階での丁寧な作業が、後の試作段階でのトラブルを減らすことにつながるのです。
ステップ4:試作機の製作とプロトタイピング
詳細設計が完了したら、実際に試作機を作ります。最初から完璧なものを目指すのではなく、まずは動作確認ができる最小限の機能を持ったプロトタイプを作ることが効率的です。3Dプリンターや簡易的な加工方法を使えば、低コストで素早く形にできます。
組み立てながら設計図では気づかなかった問題点が見えてくることも多く、実物を触りながら改善点を洗い出します。複数回の試作を繰り返すことで、徐々に完成度を高めていくアプローチが一般的です。
ステップ5:評価・テストと改善
試作機ができたら、当初の要求仕様を満たしているかを徹底的にテストします。想定通りに動かない部分があれば、原因を突き止めて設計を修正し、再度試作とテストを繰り返します。
実際の使用環境を想定したテストも重要で、予期しない状況でどう動くかを確認することが大切です。すべてのテストをクリアして初めて、量産や実運用に進むことができます。この評価プロセスを省略すると、後で大きなトラブルにつながる可能性があるのです。
各設計段階で必要となる具体的な対応内容
ロボット設計では、機械、電気、制御という3つの分野それぞれで具体的な作業内容が異なります。各分野の専門的な対応を理解し、適切に進めることで、全体として統合されたロボットシステムを実現できます。
ここでは各設計段階で必要となる具体的な対応内容について解説します。
機械設計での対応内容(構造・機構・材料選定)
機械設計では、ロボットの骨組みとなる構造体と、動きを実現する機構部分を設計します。まず負荷や動作範囲を考慮して、必要な強度を持つフレーム構造を決定します。次にギアやリンク、ベルトなどの伝達機構を選び、目的の動作を実現する仕組みを考えます。
材料選定では、アルミニウム合金や樹脂など、強度と重量のバランスを見ながら最適な素材を選びます。CADソフトで3Dモデルを作成し、干渉チェックや強度解析を行って、設計の妥当性を確認することが重要です。
電気・電子設計での対応内容(回路・センサー・アクチュエータ)
電気・電子設計では、ロボットに電力を供給し、センサーで情報を取得し、モーターなどを動かす回路を設計します。具体的には以下の3つの要素を検討します。
- ● 電源回路:バッテリーや電源の容量を計算し、各部品に必要な電圧と電流を安定供給できるよう設計
- ● センサー選定:距離センサーや圧力センサーなど、必要な情報を取得できるものを選定
- ● アクチュエータ制御回路:モータードライバーなどを設計し、マイコンからの信号でモーターを正確に動作
これらの要素を統合し、回路図を作成して基板レイアウトまで考えることが求められます。
制御設計での対応内容(プログラミング・動作アルゴリズム)
制御設計では、センサーからの情報をもとにロボットを目的通りに動かすプログラムを開発します。まず動作の流れを整理して、フローチャートや状態遷移図で制御アルゴリズムを設計することから始めます。
次にマイコンやコンピュータで実行するプログラムを、C言語やPythonなどで記述します。PID制御やフィードバック制御など、精密な動作を実現するための制御理論を適用することもあります。シミュレーションで動作を確認した後、実機でテストしながらパラメータを調整し、安定した動作を実現していくプロセスが重要です。




