オートメーションロボットの主要メーカー11社を徹底比較|選び方のポイントも解説

工場の自動化(ファクトリーオートメーション)を進めるうえで、最初の関門となるのが「どのメーカーのロボットを選ぶか」です。オートメーションロボットは一度導入すると10年以上使い続けることも珍しくなく、メーカー選びを誤ると、保守対応の遅れや周辺機器との相性問題など、長期にわたって影響が残ります。
本記事では、国内外の主要オートメーションロボットメーカー11社の特徴を整理したうえで、自社に合ったメーカーを選ぶためのポイントを解説します。
オートメーションロボットのメーカー選びが重要な理由
オートメーションロボットは、同じ「産業用ロボット」というくくりでも、メーカーごとに得意分野が大きく異なります。溶接に強いメーカー、精密な組立に強いメーカー、食品や医薬品分野に強いメーカーなど、それぞれに技術の蓄積があるためです。また、ロボット本体の性能だけでなく、制御装置やソフトウェアの使いやすさ、システムインテグレータ(SIer)との連携体制、故障時のサポート網なども、メーカーによって差があります。自社の用途・業種・生産規模に合ったメーカーを選ぶことが、自動化を成功させる近道といえます。
国内の主要オートメーションロボットメーカー8社
まずは、世界的にも高いシェアを持つ国内メーカーから紹介します。ファナック
産業用ロボットの世界大手として知られるメーカーです。コーポレートカラーの黄色いロボットで有名で、多関節ロボットから協働ロボット「CRXシリーズ」まで幅広いラインアップがあります。CNC(数値制御装置)で培った制御技術に強みがあり、工作機械との連携やマシンテンディング(機械への部品供給)用途で特に多く採用されています。国内のサポート拠点が充実している点も安心材料です。安川電機
サーボモータとインバータで世界トップクラスのシェアを持つメーカーで、産業用ロボット「MOTOMAN」シリーズを展開しています。特にアーク溶接・スポット溶接分野での実績が豊富で、自動車業界を中心に広く採用されてきました。モータ技術を自社で持つため、動作の滑らかさや高速性に定評があります。川崎重工業
1969年に国産初の産業用ロボットを開発した、日本のロボット産業の大企業です。塗装・溶接・搬送など重工業系の用途に強く、大可搬重量のロボットを得意としています。近年は、人と共存して作業できる双腕型の協働ロボット「duAro」など、中小企業でも導入しやすい製品にも力を入れています。不二越(NACHI)
工具・軸受・油圧機器など幅広い機械要素部品を手がけるメーカーで、ロボット事業でも50年以上の歴史があります。スポット溶接ロボットで高い実績を持つほか、コンパクトで高速な小型ロボット「MZシリーズ」は電子部品の組立や搬送など幅広い現場で使われています。デンソーウェーブ
自動車部品大手デンソーのグループ会社で、小型多関節ロボットとスカラロボット(水平多関節ロボット)を得意としています。自動車部品工場で鍛えられた高速・高精度な動作が特徴で、電子機器や医薬品など、細かい部品を扱う組立工程で強みを発揮します。QRコードを開発した企業としても有名です。三菱電機
FA機器の総合メーカーとして、シーケンサ(PLC)やサーボ、表示器などと合わせてロボットを提供できる点が最大の強みです。ロボット単体ではなく、生産ライン全体を同じメーカーの機器で統一したい場合に有力な選択肢となります。小型・中型の多関節ロボットとスカラロボットが中心です。セイコーエプソン
スカラロボットの分野で世界的に高いシェアを持つメーカーです。ウォッチの組立で培った精密技術をベースにしており、小さな部品を高速・高精度に扱う工程に強みがあります。プリンタなど自社製品の生産で実際にロボットを使い込んでいるため、現場目線の使いやすさにも定評があります。ヤマハ発動機
単軸ロボットやスカラロボットなど、比較的シンプルな構成の搬送・組立用ロボットを幅広く展開しています。リニアコンベアモジュールなど搬送系のラインアップが充実しており、「ラインまるごとの自動化」を一社で提案できる点が特徴です。コストを抑えて自動化を始めたい場合にも検討しやすいメーカーです。海外の主要オートメーションロボットメーカー3社
海外メーカーにも、世界中の工場で採用されている有力企業があります。ABB(スイス)
スイスに本拠を置く重電・FAの世界的企業で、産業用ロボットの老舗メーカーでもあります。塗装や組立、マテリアルハンドリングまで幅広い製品群を持ち、グローバルに展開する企業の海外工場でも採用しやすいのが強みです。KUKA(ドイツ)
オレンジ色のロボットで知られるドイツの大手メーカーです。自動車産業向けの大型ロボットに強く、欧州の自動車工場で高いシェアを持ちます。人と協働できる高感度ロボット「LBR iiwa」など、先進的な製品開発でも注目されています。ユニバーサルロボット(デンマーク)
協働ロボット専業のメーカーで、この分野の世界的パイオニアです。安全柵なしで人の隣に設置できる手軽さと、プログラミングの容易さが特徴で、ロボット導入が初めての中小企業からも支持を集めています。可搬重量別に複数モデルを展開しています。オートメーションロボットメーカーの選び方4つのポイント
ここまで紹介したとおり、各メーカーには明確な得意分野があります。カタログスペックの比較だけでは判断が難しいため、以下の4つの視点から総合的に検討することをおすすめします。1.自社の用途・業種での実績
溶接なら安川電機や不二越、精密組立ならデンソーウェーブやエプソンといったように、まずは自社の用途で実績が豊富なメーカーを候補にしましょう。同業種での導入事例があるかどうかも重要な判断材料です。2.サポート体制と拠点の近さ
ロボットが停止すると生産ライン全体が止まるため、故障時にすぐ駆けつけてもらえるかは死活問題です。自社工場の近くにサービス拠点があるか、保守契約の内容はどうかを必ず確認しましょう。3.既存設備・周辺機器との相性
すでにPLCや画像処理装置などを導入している場合は、それらと連携しやすいメーカーを選ぶと立ち上げがスムーズです。生産ライン全体の統一性を重視するなら、三菱電機のような総合FAメーカーも有力です。4.システムインテグレータとの連携
ロボット導入は本体を買って終わりではなく、周辺装置の設計や設置・調整を担うSIerの存在が欠かせません。候補メーカーの製品を得意とするSIerが見つかるかどうかも、事前に確認しておきたいポイントです。導入前には各メーカーのショールームや展示会で実機を確認し、可能であれば自社のワーク(加工対象物)を使ったテストを依頼すると、より確実な判断ができます。まとめ
オートメーションロボットのメーカーは、国内ではファナック・安川電機・川崎重工業などの世界的大手から、特定分野に強みを持つメーカーまで多彩です。海外でもABB・KUKA・ユニバーサルロボットなどが存在感を示しています。メーカー選びで大切なのは、知名度だけで決めるのではなく、「自社の用途での実績」「サポート体制」「既存設備との相性」「SIerとの連携」という4つの視点で比較することです。複数メーカーから提案を受け、実機のデモやテスト加工を経て判断すれば、導入後のミスマッチを大きく減らせるでしょう。




